「ちょっと、聞いて聞いて!」
これが口癖になってる職員さんっていらっしゃいませんか?そして、そのあとに続く言葉は…
「こないだ○○さんが□□さんのこと、『あいつは仕事ができない』って言ってたよ」
「□□さんが主任のこと、『リーダーの器じゃない』って言ってましたよ」
「〇〇さん(男性)と□□さん(女性)が楽しそうに一緒に帰ってるの見ました!」
こんな感じ
本人が聞きたくもない、言った方も本人に伝わると思っていない情報を、わざわざ本人に(尾ひれまで付けて)逐一伝えてくださる迷惑極まりない習性を持つ職員さん、ここでは「噂魔さん」とします。
程度の差こそあれ、噂魔さんはどんな組織にもかならず存在します。存在する意義として「職員のガス抜きになる」という側面もないことはないんですが、もたらすデメリットが大きすぎるので継続的な対策を早急におこなう必要があります。
「たかが噂、されど噂」、噂魔さんにはこれがわかっていません。噂がきっかけで人間関係がこじれにこじれ、とうとう退職に至るという方もおられます。この人材不足のご時世で、噂魔さんの放置は組織の存続にかかわる重大案件です。
そこで私の場合、次のような対策をおこないます。
まず噂魔さんに直接注意するようなことは、いっさいしません。したとしても「職場でうわさの流布ってのは、無責任なことですよね」的な、世間話程度のやりとりしかしません。
その理由は、ほとんどの噂魔さんは、「たいへん迷惑なことをしている」という自覚を、まったくと言っていいほど持っていないからです。
噂魔さんの対応をさせられるの職員の大半は仕事中に話を聞くので、「そんな無責任な事言わないほうがいいよ」とか「そんな噂広めて何が楽しいの?あなたっていいかげんな人ね」などエネルギーを必要とする返答を無意識に避けています。
「へ~、そうなんですか」「すごいですね」
こういった無難な返答を、ついついしてしまうパターンがほとんどで、それを聞いた噂魔さんは「私の情報が人を喜ばせてる!!私って役に立ってる!」という承認欲求を満たされ、また次の噂集めに奔走するという悪循環。
話を対策に戻しましょう。
私がおこなう対策は、噂魔さん以外のすべての職員におこないます。
つまり、他の無害な職員に「(噂魔)さん、悪い人ではないんだけど」と前置いて(これ大事)…
「人の噂が気になる人で、本当かどうかもわからないから、相槌は打つけど他の職員さんほとんどが話半分で聞いてるみたいですよ。」
「(噂魔)さんが貴方の噂を流していても、本当かどうかわからないことばかりだし、みなさんもあまり相手にしていないから気にしなくていいですよ。それでも気になるようなら私に相談してください。」
などの言葉を、ひとりひとりにかけていきます。
職員ひとりひとりに話をする必要があるので大変ですが、誰も嫌な思いをせず、もっとも大きな効果を生む方法だと考えています。
もしも噂魔さんと懇意にしている職員が「施設長があなたのこと、こんなふうに言ってたよ」と伝えてくれるなら、それはそれで注意喚起になるのでありがたいお話。
もし噂魔さんが施設長室まで「どういうことですか」と訪ねてきたらきっちり返答します。その時は「私の言いたいことを言う」のではなく「相手の聞きたいことに返答する」図式になりますから、こちらもなにかと話をしやすい。
ともかく
「噂魔さん」…今までどおり相槌を打ってくれるので嬉しい状態継続。
「職場」…噂魔さんの話を一種のエンタメ程度に捉えることで仕事のガス抜きになるかも。
ただし、噂魔さんの方はずっとこの状態が続くと孤立してしまう可能性があるので、そこのケアは必要かもしれません。
ですが
「悪気がないとはいえ、無責任な噂を流して人を傷つけていく人の進退」と
「善良な職員の労働環境改善」
このふたつを天秤にかけた時、前者をとる管理者は…まあ、いないでしょうね。