介護職の皆さま、今日も一日お疲れさまでした。今日は蒸し暑い日でしたね。
介護職員が急に休んだため、ひさしぶりに利用者様の身体介護に入りました。寝たきりの方の衣類着脱の介助ですが、昔の記憶がよみがえりました。
『とにかく早く、たくさんやる』
「とにかく早く、たくさん介護をする」という信念のもとに仕事をしていた時期がありました。介護の仕事を始めたばかりのころです。
多くの新人職員は「先輩に迷惑をかけないように、目を付けられないように」といった理由で「早く、たくさん」を目標にするようです。しかし私の場合は違っていました。
「他の職員は余裕がないからすぐ利用者様にイライラするのだろう、自分がたくさんやる事で少しでも余裕をもってもらおう」
こんな風に考えていました。
実際現場は火の車で、イライラしてしまうのも仕方ない面があるという考え方は、今もあまり変わっていません。もちろん、程度の問題はありますが。
これを目標で頑張っていたところ、身体介助にいくつかコツを見つけたのでここに書いておきます。
しかしこれらは業務を最優先したやり方であり、いうなれば介護職員として第一段階の考え方です。そして自分のまったくの我流なので「これはおかしい」といいう意見はコメントいただければ参考にしますが、それよりも無視を推奨します。
コツ①骨
けしてコツと骨をかけたくだらないダジャレではありません…
お年寄りの体に触れた時、柔らかさに驚く事があります。柔らかいというのは体の柔軟性ではなく、触れた時の感触の事です。広範な身体介助を必要とする方は寝たきりの方が多く、そのような方は筋肉が少ないからでしょうか。
柔らかさゆえに、適当に自分の手をあてて移乗などの介助をおこなうと、力をいれた瞬間その力が正確な方向に向かずに逃げて行ってしまう事があります。そうすると移乗動作が不安定になるだけでなく、パンチの空振りのように無駄な疲れが発生します。1日に何十回も移乗介助を行うと、最後あたりはこの些細な疲労もけっこうつらいものです。
そこで利用者様の「骨」を意識してみます。どんな方でも骨はある程度の強度があり、力を受け止める事ができます(骨粗鬆症の方は注意が必要ですが)。
ですので利用者様の骨で力を受け止めていただく事を意識して移乗をおこなうと、自分の力を無駄なく相手に作用させる事が可能になります。極端な時には、脇より肘(骨が出ている)を支えて体を動かさせていただく事もありました。
この考え方を覚えておくと、利用者様の上腕や下腿を握るようにつかんで力を込めても肉がずれて骨に力が伝わらない事、おしりを支えるときは尾てい骨を支えるほうが安定する事、持って動かすより押して動かすほうが安定する事など物理法則にかなった介助に気付けるようになります。相手の骨に効率よく力を伝え、最小の力で利用様の体をコントロールしようとしていました。
コツ②重心
重たいものを持つとき、その物体のはじっこを持つ人はいません。かならず真ん中あたりを持ちます。これは重さの中心、つまり重心の近くに力を加えるほうが、その物体を動かしやすいからです。
移乗の支援の時、これを常に意識していました。自分の予想では、人体の重心はおそらく骨盤と背骨が連結される部分(もしくはその少しおへそよりあたり)にあると思います。つまり立ち上がりの介助の時、支えられるのなら脇より腰のほうがよいという事です。
また移乗にかぎらず、相手の重心と自分の重心を近づけるほど身体介護はラクになります。おむつ交換、車いすでの座位リセットなどの時に気をつけていました。
これらは誰から教えてもらったわけでもなく、試行錯誤の中で自分で気づきました。ですので新人や実習生にも「まず自分の足をここに置いて…」「それから利用者様のここをもって…」などの指導はしません。物体の動かし方のコツ(あえてこの言い方をしています)と原理を教えないと、職員も利用者様も様々な体格や特徴の方がおられるので実践で役に立たないからです。
以上のふたつのコツをつきつめる事で、身体介護による自分の体への負担は最小になりました。なおかつ利用者様も無駄な力を加えられずに済むので、その頃の自分はかなりのレベルで「早く、たくさん」を実現できていました。
しかし…
実は第三のコツが存在したのです!!
指が疲れたので次回に続きます…