家族様からの相談、要望を承る事も相談員の業務のひとつです。
私が相談員になってからも様々な要望、相談がありました。これらに対応する際、大切にしている事を備忘録として書いていきます。
ひとつめ。状況を精査すること。
まず大切なのは、何が起こっているのかを正確に把握して整理する事です。相談員である我々は、自分で想像しているほどには現場を把握できていません。
関係職員各位、ケース記録、当日勤務者や利用者様本人に直接声をかけ、状況を整理します。
この時は、直接話を聞きましょう。河川の源泉を探すように、話の出どころまでたどりつきましょう。「あの人が言っていた」「そう聞いた気がする」といった類の情報は信用できません。事実をはっきりと把握しないと家族様の疑問に答える事ができませんし、問いただされてあせった時に間違った情報を伝えてしまうかもしれません。もしもわからない時は「わからない」ときちんと答えましょう。
現場でおこっている事は現場で聞くのが一番です。苦情の対応となるとみな一様に固い表情になりますが、その緊張を解きほぐして情報を聞き出すのも相談員の技量ではないでしょうか。
ふたつめ。冷静であること。
「家族様に納得していただきたい」という想いは大切です。しかしそれが燃え上がってしまうと冷静な対応が難しくなってしまいます。施設側に非がない案件で謝罪をしてしまっては、かえって家族様の逆鱗に触れてしまうかもしれません。
怒りをおさめてもらうのが相談員の役目ではありません。家族としっかり対話をし、何に疑問を持っておられるか、何を知りたいのかをはっきり汲み取り、その上で施設側である自分たちの状況を考えていただく相互理解の姿勢が重要です。
そこに注意しておけば、たま~~~におられる「何も疑問を持っていない、何も知りたいと思っていない。けど苦情を言ってこられた。」という家族様を判別できます。そのような家族様にはそれ相応の対応があります。シチュエーションに関係なくひたすら謝るのは、誠意のある対応とはまた別の話です。
みっつめ。家に持ち帰ってまで考えない。
相談員とて人間です。相手の負の感情を四六時中考えていては身が持ちません。相談員が夜も眠れないほどいろんな事を考えても、事態の好転には直接関係ありません。そしてまちがいなく相手の家族様はスヤスヤと眠っておられるはずです。
自分もつい最近、「今日また理不尽に怒られたら、もうできる事がないとはっきり言そうかな」と思っていた矢先に、勘違いに気づいた家族様から謝罪の電話が入ったことがありました。クレームの解決には運のいい悪いも大きく関係しています。
最初に述べたように苦情を承る時の状況は千差万別です。柔軟で誠実な対応は大切ですが、とことんまでやったら、そのあとの「あきらめ」も受け入れましょう。