副施設長

よい循環とよくない循環

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名前がわかりません…

相談員の業務の中に第三者委員会とのやり取りがあります。

私の施設の第三者委員は、地域の民生委員でされている方など、何かしらの社会的な貢献をされている方3名が担当してくださっています。先日その方に来ていただき、施設長、私、介護主任とで利用者様からの処遇に関する意見交換会を行いました。

施設でおこった利用者様と職員のトラブルを包み隠さず報告し、意見をいただきます。普段介護の現場になれている私達と違い、外部の方からの意見は色んな意味で参考になります。

その中で一人の方がおっしゃられた言葉が記憶に残りました。

「10年以上前から施設に関わらせていただいているが、その頃から比べると家族様から感謝の言葉をいただく事が多くなった。以前は苦情ばかりで、聴く自分も悲しかった。今は本当に嬉しく思っている。

振り返ってみればたしかにそうでした。私が入社した頃は措置から介護保険に移行して間もない時期という事もあり、職員が認知症のある利用者様に対してあまりに不慣れな状態でした。ストレスがたまるせいか、言葉や態度がきつくなりがちで、それを目にした家族が印象を悪くし、職員は「こんなに大変な目に合っているのに誰からも感謝してもらえない」とモチベーションが低下する…こういった悪循環にありました。

悪い循環が続いているとき、利用者様と職員、どちらかが変化しなければ好循環に切り替えることはできません。ならば先に変わるべきなのが職員である事は自明の理です。第三者委員の方の言葉を「少しずつよい循環がなされているかもしれない」と前向きに考えることができたのは、私にとって何よりも嬉しい瞬間でした。



第三者委員会の方との意見交換では、新人職員が自発的にケアの方法や接遇の態度を改め、気難しい利用者様から感謝されていた例を伝えました。委員の方は自分のことのように喜んでくださり「20歳やそこらの若い人がよくここまでできたと感心する。」と言われていました。

正直少し前までの自分はその職員に対して、「他の職員もやっている事がなぜできないのだろう。できるはずなのにやっていない。」という疑いの気持ちが少なからずありました。しかし世間一般的には「こういう感覚の方もいるのだ」という現実を目の当たりにし、もう一度先入観を持たずにその職員に関わってみようという気持ちになれました。



前向きな自分が「よくなっている」と思えば、反対の自分が「そう感じて安心したいだけだろう」とささやきますし、ネガティブな自分が「よくなっていく気がしない」と思えば反対の自分が「果たして本当にそうだろうか」とつぶやきます。そんな終わりのない押し問答の連続ですが、時々今回のような、心から安心できる日が訪れることもあります。

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