子供たちから

デビルマンとアンパンマン

投稿日:2019年11月10日 更新日:

デビルマンとアンパンマン。彼らの生き様には非常に共感できるものがあります。以下ネタバレも含みますので、作品に触れていない方はご注意を。



まずデビルマン。

彼は悪魔一族の中でも最強と言われる悪魔アモンに乗り移られ、悪魔の体と能力を手に入れました。本来なら精神もアモンに支配されるはずでしたが、人間不動明の精神はアモンの悪の意思に打ち勝ち、悪魔の体を持つ人間、デビルマンになりました。

デビルマンは人間のために悪魔一族を駆逐しますが、その過程で暴徒化した人間に恋人を殺されてしまいます。正義の在り処を見失ってしまったままデビルマンは最後の宿敵との戦いに身を投じます。

以上がデビルマンのあらすじです。彼は人間から「悪魔」と蔑まれながらも、愛する人たちのためにデビルマンとなって戦い続けます。周囲の状況に左右されず、自分の成し遂げたい事のために全力を尽くしていました。

特別養護老人ホームの利用者様には認知症の方が多く、自分のおかれている状況を把握する事が難しい方もおられます。職員がお世話させていただいた時、「ありがとう」「いつもごめんね」などの言葉を発する事ができず、むしろ暴言や暴力で反応してしまう方も少なくありません。

こんな時、私はデビルマンの話を思い出すのです。悪魔からは裏切り者と罵られ、人間からは「悪魔」と恐れられるデビルマン…どこにも居場所がない状態です。にもかかわらず、デビルマンは人間のために戦い続けました。

この姿にとても勇気づけられました。たとえお年寄りから「あっちへいけ」「このバカ」など言われても、少しでもその方が助かるように考え、行動する。自己満足、エゴとも表現されるかもしれませんが、デビルマンのような考え方で仕事ができたらな、といつも考えます。



そしてもうひとりのヒーロー、アンパンマン。

こちらに関してはもはや説明は不要でしょう。日本中の子供のヒーロー、アンパンマン。彼はデビルマンよりもっと単純です。シンプルな思考で困っている人を片っ端から助け、時には自分の顔さえ分け与えます。

このアンパンマン、どんな行動原理で動いているのでしょうか。それは歌にヒントがありました。

「おそれないでみんなのために。愛と勇気だけが友達さ。」

愛と勇気だけを友達と考えているのです。友達がいなくてもいいというわけではなさそうですが、それは愛と勇気という概念だけでよい。それだけで無限の力を出すことができる…それがアンパンマンです。

私達の仕事は、時には人間の汚さ、ずるさ、みにくさ、弱さを目の当たりにする場面があります。それは利用者様や家族様であったり、時には自分自身でもあります。

こんな時、アンパンマンに「それらを観る事をおそれるな。愛と勇気だけを携えていれば、それでいいじゃあないか。」と励まされてきました。介護の仕事は素晴らしい経験ばかりではない、つらく汚い部分も多くあるが、それらも全部ひっくるめての介護職員の日常なのだ、と。

事実、私はアンパンマンの歌で涙を流す事さえありました。やなせたかしさんは本当に偉大な方だったのだなあ…

この二人のヒーロー、なぜこれほどまでに私を惹きつけるのか、その理由がわかるような気がします。ふたりとも空想の産物ですが、おそらく作者の方の内面が具現化された存在なのではないか。

永井豪さん、やなせたかしさん、おふたりともぎりぎりのところで仕事をされていた事もあったでしょう。その様々な葛藤の中で、この素晴らしいヒーローたちは生まれたのではないでしょうか。

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