お年寄りから

ひきこもって考える事

投稿日:2019年10月22日 更新日:

世間話などでよく「ひきこもり」という言葉を聞きます。一般的には、この状態になってしまったら最後、社会不適合者のレッテルを貼られ、社会復帰が難しいという印象が強いようです。

たしかに日常的に引きこもり状態になってしまうのは嫌ですが、時々心から「ひとりになりたい」と思うときがあります。

今日がまさにそんな気分で、嫁さんにことわって、朝から晩まで漫画喫茶に引きこもっていました。

私は漫画喫茶という場所が非常に好きで、漫画読み放題、ジュースやコーヒー飲み放題、許されるのなら休日ごとに訪れてゆっくりしたいと思うくらいです。

そして昼ごはんは来来亭のラーメン定食。家族連れで混雑していましたが、ひとりなのですぐにカウンター席につく事ができました(らくちん)。

漫画喫茶では「鬼滅の刃」という漫画を1巻から一気読みしました。読み始めると世界に引き込まれ、あっという間に数時間が過ぎていました。

思うに、自分の今の状況はこれ以上ないほど恵まれています。子供も特に病気や登校拒否などにならずにすくすくと成長していますし、大きな借金があるわけでもありません。仕事も充実しています。

それなのになぜか、月に1回程度、「孤独になりたい」と感じる時期がやってくるのです。

自分という人間は、本当にわがままにできています。家族に恵まれた状態が続いていれば孤独を欲し、孤独が続けば今度は人とのつながりを求めます。つまり同じ状況に長くとどまる事が難しいのです。それは物事を相対的に感じているからだと思います。プラスだけでは満足できない、マイナスの要素があり、その裏面としてでしかプラスの体験を感じることが難しくなっているのでしょう。

ただこれは大なり小なり、他の人間も同じなのではないか、と考えます。

例えば介護の仕事を始めたばかりの職員は、利用者様からの感謝の言葉にとても感動します。「この仕事について本当によかった」と感じることさえあります。しかし2、3年もするとまったく同じ職員がそのありがたみを感じなくなっていたりします。そして「お礼を言うくらいなら自分でやればいいのに…」などと口にするのです。

このような事を考えていると、利用者様にきつい態度をとる職員の是非がよくわからなくなることがあります。わかりやすく言うと、利用者様に厳しい職員がいるおかげで、優しい職員の思いやりが際立っているという考え方です。つまり利用者様にとって不快な職員も必要悪であるという事になります。

しかし最終的にはいつも、「それは間違っている」と気づきます。なぜなら私達の仕事が、高齢者を対象にしたものだからです。

お年寄りは非常に遠慮深く、思慮深く、物事の真実を見抜いています。私達のような「あの人よりはこっちの人が優しい」といった打算を含んだ感謝をよしとしない、ある種の潔さにも似た雰囲気を持っています。

してくれた事に、その時その時で心から「ありがとう」「助かった」とおっしゃってくださいます。それだけ人から受けた恩や善意に敏感なのです。

私は、こういうお年寄りならではの考え方、物事の捉え方のセンスが非常に好きです。相対でなく絶対、過去も未来もなく今そのときに受けた優しさへの感謝。言葉での説明が難しいですが、こういった感覚に共感できるからこそ、この仕事を続けられているのだと思います。

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